Aloe austroarabica(アロエ・アウストロアラビカ)

学名

Aloe austroarabica T.A. McCoy & Lavranos

出典: Cact. Succ. J. (US) 75: 123 (2003)

分布

サウジアラビア南西部(アシール州)からイエメン北西部にかけて分布しています。標高850〜1,200m付近の、急峻な砂礫の斜面や玄武岩などの火成岩が露出する岩場、あるいはワジ(枯れ川)の岸に自生しています。

形態

基本的には茎を持たない(無茎)か、ごく短い茎を持つタイプのアロエです。通常は単生(ひとつのロゼットで成長)しますが、稀に2〜3個のロゼットに分かれることもあります。周囲にはアデニウムやサンセベリアなどが混生する、乾燥した低木林の中にひっそりと姿を現します。

20〜25枚の葉がロゼット状に重なり、斜め上に向かって広がります。葉は長さ50〜60cm、幅12cmほどに達し、表面は滑らかな緑色から灰緑色をしています。葉の縁には、白く硬い軟骨質の縁取りがあり、約3mmの白い三角形の棘が18〜25mm間隔で並びます。幼苗の頃には白斑が見られますが、成長とともに消えていくのも特徴のひとつです。

高さ145cmにも達する立派な花茎を伸ばし、3〜6個の総状花序を形成します。最大の特徴は花被(花)そのもので、全体が細かい毛に覆われており、黄色または濃いピンク色に鮮やかな緑色の縦筋が入ります。この「毛のある花」と「緑の縞模様」のコントラストは、本種を非常に魅力的なものにしています。主な開花期は春(4月〜5月)です。

その他

【栽培アドバイス】
自生地は夏に暑く湿度があり、冬は涼しく乾燥するサイクルを持っています。栽培下では、岩場を好む性質から非常に水はけの良い用土を使用し、通風を確保することが重要です。年間を通して6〜38℃程度の気温変化には耐えますが、春の成長期(雨季に対応)には適度な水分を与え、冬場は乾燥気味に管理してください。日光を十分に当てることで、美しい灰緑色の葉と、特徴的な花序を楽しむことができます。

【豆知識と分類】
種小名の「austroarabica」は、アラビア半島南部に固有であることに由来します。近縁の Aloe lavranosii と混同されることがありますが、本種の方が葉が緑色に近く、通常は群生せずに単独で育つ点、そして花の毛の密度や長さの違いで見分けることができます。残念ながら、現在は放牧や開発による生息地の破壊により、野生個体数は減少傾向にあります。


引用元:
・Plants of the World Online (POWO) / Royal Botanic Gardens, Kew
・T.A. McCoy & Lavranos (2003) “Cactus and Succulent Journal (US)”
・”Aloes: The Definitive Guide” (Scientific data synthesis)